身代わり婚～偽装お見合いなのに御曹司に盲愛されています～

ここまで来て拒否できるわけもなく、私は言われるままに腰を下ろした。

「あなた、今の悠人の状況をご存知？」
いきなりの核心をついた言葉に、私は目を見張った。
そして悠人と呼び捨てをするこの人との関係は一目瞭然だろう。

「ああ、その様子だと何もしらないのね？」
クスクスと笑う更科さんに、私は嫌な汗が流れ出る。

「どういう意味ですか？」
「悠人が社長になりたいことは知っているわよね？」
この人が知っていて、それすら知らない私は、やはりただのおままごとの駒だったのかもしれない。

何も答えない私に、更科さんは更に綺麗な微笑みを浮かべた。