身代わり婚~偽装お見合いなのに御曹司に盲愛されています~
結婚を条件に社長の椅子をチラつかせているのはわかっていたし、それならばと思って少し裏で手を回して、礼華の姉とのお見合い話にこぎつけた。

もちろん断って、礼華に近づく気だった。

薫子のことは小さいころから知っているし、確かに好意を持たれていたのも事実かもしれない。
しかし、薫子のことなど、これっぽちも思ったことなどない。

「このあいだ約束しただろ? このアメリカのインダストリー社との契約を決めたら、礼華との結婚を認めるって!」
俺の言葉に驚いたように、祖父は顔を歪めた。

「薫子さんはお前がそれを望んでいると……だから、この契約も他の人間が行くって……」
そう言うと、祖父は俺に書類を見せる。
それは、ずっと俺が死に物狂いで契約に向けて動いていた案件だった。
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