見ツケテ…
吐き出す息が白くなり、全身が冷気に包み込まれた。


そして……。


目の前の鏡が暗転した。


あたしは目を見開き、真っ黒に塗りつぶされた鏡を見つめる。


全身が震えていて歯がカチカチと音を鳴らす。


それでも、あたしはその場から逃げることもできず、鏡から目を逸らすこともできなかった。


そして気が付いたのだ。


この声は鏡の中から聞こえてきていることに。


真っ黒だった鏡の中に、ボンヤリと灰色のモヤが浮かんで見え始めた。


それは赤ん坊のような姿をしていて、へその緒がついている。


「あ……ああ……っ!」


赤ん坊の体は真っ赤な血にまみれていて、へその緒を引きずりながらこちらへ近づいてくる。
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