見ツケテ…
藻に絡み付いたゴミが光に照らされて、指輪のように見えたのだ。


「でも不思議だよね」


「不思議って、なにが?」


「だって、写真に写っていたのは赤ん坊の顔だったんだよ? それなのに、出て来たのは細い手だった……。どういうことなんだろうね?」


「そんなの、俺にだってわからないよ」


知樹は大きくため息を吐きだして答える。


「悪いけど、昨日全然眠れなかったんだ」


A組に到着した後、知樹はそう言ってすぐに自分の席で突っ伏してしまったのだった。
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