愛され秘書の結婚事情

6.


 翌朝、土曜日。

 いつもの習慣で午前六時前に目覚めた七緒は、洗面台の鏡に映った自分を見て、深い溜め息をついた。

 プレゼントされたドレスはどうにかハンガーに掛けて保管したが、メイクも髪もそのままにベッドに倒れ込み、シャワーも浴びずに寝てしまった。

 涙で溶けたメイクが悲惨な跡を残し、鏡の中の自分と対峙しながら七緒は、このままホラー映画にゾンビ役で出演出来そうだなと思った。

 眠気覚ましに浴室へ直行し、熱いシャワーでメイクも落とした。

 完全に目が覚めると頭の中もクリアになり、昨日の自分の醜態を思い出した七緒は、バスタオル一枚の姿で脱衣所にしゃがみ込んだ。
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