愛され秘書の結婚事情

5.


 答えを出せないままに、月曜日の朝が来た。

 いつもの支度を済ませた七緒は、鏡に映った自分と無言で見つめ合った。

 頬の腫れはもう完全に引き、幸い痣にもならなかった。悠臣の処置がそれだけ的確だったということだろう。

 元アメフト部というのは意外な過去だったが、スポーツ全般好きだと言っていたし、今も時間を作ってはジムに通っているということで、スポーツマンということは知っていた。

 男性も三十代を過ぎると、日頃鍛えているか否かで体型に明確な差が出てくる。

 その点、悠臣の場合、お腹も出ていないし胸筋が鍛えられてスーツが似合い、きっと脱いでも良い体なのだろう。
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