契約結婚の陰に隠された真実の愛〜言葉に出来ない気持ち〜
次の日渉は彼の会社にやって来た。

「社長、お客様がお見えです」

「誰?」

「奥様のお知り合いの方だそうです」

「亜実の知り合い? 通してくれ」

「かしこまりました」

渉が社長室に通された。

「始めまして、飛鳥渉と申します」

「社長の桐生柊です。妻のお知り合いの方と伺いましたが、どんなご用件でしょうか?」

「この間奥様にお会いしまして、旦那様に愛されていない、実は契約結婚だとお聞きしました、それなら、俺に返してもらおうかと思い、伺いました」

「返してもらう?」

彼はすぐに渉を私の元彼と察した。

「失礼ですが、彼女がいらっしゃるとのことですが、亜実を妻の座に置いておいて、愛人とよろしくするのはどうかと思いますが?」

「彼女とはもう終わっています、それに俺は亜実を愛している、亜実と別れる気はない、飛鳥さんは亜実を手離したんですよね、俺は手離さない、お引き取りください、そして二度と亜実に近づかないでいただきたい」

「お客様がお帰りだ」

「俺は諦めませんよ」

渉はその場を去った。
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