契約結婚の陰に隠された真実の愛〜言葉に出来ない気持ち〜
第十一章　柊さんとの別れ
次の日から彼は記者対応に追われた。
私は毎日毎日マンションに閉じこもって、外に出ることは出来なかった。

暫くして滝沢さんがマンションにやってきた。
そして彼にとんでも無い事柄を突きつけた。

「社長、奥様と別れてください」

「別れない」

「会社を守るためです、社長の失脚を狙っているやからにとってスキャンダルは格好の狙いです、それに、奥様をこのままずっと閉じ込めておくおつもりですか？」

私は何も言えずに、しばらく考えている彼を見つめていた。
私の視線を感じたのか、彼も私を見つめた。

「離婚届けを提出して頂き、奥様には引っ越して別に暮らして頂きます、しばらくの間会うことも出来ません」

「俺が誰と何処で会おうと勝手だろ」

「社長、二人で会ってる所を写真に撮られては困りますから、我慢してください」

「わかった」

「奥様、明日お迎えに上がります、荷物をまとめて置いてください」

返事の言葉が言葉にならなかった、自業自得だから仕方ない、もしかして今までの生活は夢？初めからこうなる運命だったのかもしれない。

私にとって社長夫人は器ではないし、彼に愛されることも不釣り合いなのかもしれない。
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