契約結婚の陰に隠された真実の愛〜言葉に出来ない気持ち〜
すぐに滝沢さんからメールが届き、二時に待ち合わせることになった。

「すみません、勢いよく出てきたのに、もう白旗あげてしまって・・・」

「いえ、ご連絡していただいて、よかったです」

「柊さんの様子どうですか」

「食事を召し上がりません」

「そうですか、ご婚約は進んでいますか」

「いえ、この間も先方様のお嬢様とお会いしたのですが、自分には好きな女性がいて、生涯その女性を愛するがそれでもよければ結婚しますと言っってしまい、お断りのご返事が・・・当たり前ですよね」

「そうですか」

「マンションの部屋も荒れ放題で、ハウスクリーニング手配をご提案したのですが、社長は首を縦には振らず困っております」

「柊さん頑固ですから」

「あのう、お仕事決まっていないのなら、社長の部屋のお掃除と、食事を作って頂く仕事を引き受けていただけないでしょうか?」

「でも、柊さんはハウスクリーニングは嫌だと言っているんですよね?」

「まず、亜実さんの作った食事を食べて貰って、ハウスクリーニングもお願いするからと、私が説得します、そのかわり社長とは顔を合わせないという条件でお願い出来ますか?」

「私は構いませんが・・・」

「ではアパートもこちらで用意致します、それから当面の資金です、あと材料など買い物はこのカードでお願いします」

私は桐生不動産社長のハウスクリーニングと食事を提供する仕事をすることになった。










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