ラヴシークレットスクール ~消し去れない恋心の行方


高島を抱きかかえたまま通った保健室までの道中では
予想通り生徒達から騒ぎ立てられた。

それに対して俺は
八嶋と高島の関係を勝手に否定。

八嶋と高島と俺の三角関係も
さらりと否定。


今度は俺と高島の関係について騒がれる
そう思ったのに
少し年の離れた俺と高島の関係を
どうやら怪我をした高島を俺が介抱しているだけと捉えてくれた生徒達はあっさりと引き下がってくれた。


少々肩透かしな感じもしたが、
これでおそらく八嶋と高島の件はただの噂話で収拾がつくだろう

今回の件で八嶋の高島に対する気持ちは改めてよくわかった
でも、高島が彼のことをどう想っているかは・・・わからないままだ


じゃあ、俺はどうなんだ?

こうやって高島とふたりでいる今を
自分にとって当たり前のように感じてしまう

こんな感覚は久しぶりで
それをさっさと手放したくない俺は
彼女を病院まで連れて行こうと思ったぐらいだ


けれども

「・・・・・右足は元気なんで、アクセル踏めますし、大丈夫です。」

彼女のハッキリとした口調の返事で俺は
彼女の想いを受け入れなかった自分の立場を改めて思い知らされた。


高島はきっとちゃんと前を向いて歩いている
その邪魔を俺がしてはならない

その想いを胸に
俺は自分が今高島にしてやるべきことであろう彼女の足の応急処置をすることに集中し、それをやり終えた後、すぐさま彼女から離れた。

俺を呼び止め、ありがとうございましたとお礼を口にした彼女に

そして

『・・・・・今度は彼氏に守ってもらえ。生徒に誤解とかされないように。それじゃあな。』


自分自身に対しても現実というものを突きつけてから。



蒼井と出逢ってから
ずっと彼女のことを気にかけてきた自分

蒼井がいなくなってからの約1年とちょっともの間
そして
新人数学教師となってこの学校に赴任してきてからずっと

高島は俺の近くにいた
いつも明るいヒマワリのような笑顔で・・・・

それが当たり前だった俺


でもそろそろそれが当たり前ではないことを
ちゃんと自覚しなければならない

・・・そう言い聞かせながら俺は高島に背を向けた。



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