ラヴシークレットスクール ~消し去れない恋心の行方
∫5:お隣同士の数学教師


【∫5:お隣同士の数学教師】


「高島、頼みがある。」



高校時代、バレーの顧問兼数学担当教師だった入江先生の丁寧な授業を真面目に受けていたせいで数学の面白さにのめり込んだあたし。

その面白さを未来の子供達に伝えたい一心で真剣に数学高校教師を目指すことになり静岡理科大学理学部を受験した。

教職課程もとり大学院も無事修了し、教員採用試験も合格したあたしがこの浜名南高校に着任してはや3年。

憧れの人を追いかけるために数学教師になったわけではないけれど


『わたしにですか?』

「ああ、お前にな。」


ちょっぴりしょっぱい想いを抱いた過去を経て現在、
職員室で隣のデスクになってしまったのは
今、私の名を呼んだこの人。

・・・土曜日の朝、前日に行った数学の中間テストの採点をしていた入江先生。



『どんなことですか?』

「ここでは、ちょっと・・」

と言葉を濁しながら、入江先生はメモを渡してきた。


“浜松駅ビル北口の花時計の前、午後2時に”

渡されたメモには赤字でこう書かれていた。


なんかデートの誘いみたい
だけど
おそらくテストの採点中に書かれたものだと思うけど
赤字のメッセージはあまり快いものではないから・・・


『入江先生、赤字はナシでしょ~。』

「あっ、やっちゃったな・・ゴメン。」

『わかりました。2時に浜松駅ですね。』

「よろしく頼む。」


入江先生とは
時には先輩後輩関係なくこうやってイジる関係

高校1年生の時のあの自分を見失うぐらい入江先生を想ったのが嘘のようだ


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