ラヴシークレットスクール ~消し去れない恋心の行方



余計な一言。

それを取り消せやしないけれど、
今の自分には必要だった一言だったと
自分自身に言い聞かせた。


『さ、食べよ~。美味しそう♪』


完全に重い空気になっていることを自覚したあたし。

そんな空気は簡単に変わらないことぐらいわかっていたけれど
いつもより1オクターブ声を高くしてそう呟いて、うず高く盛られたホイップクリームをフォークで掬い上げ、口へ運んだ。


甘いはずなのにほろ苦い
そんな感じがした。


だからあたしは

「高島、あのさ・・・・」

『ほら、急がなきゃ・・・入江先生、この後、どこか行くんですよね?早く食べちゃいますね。』

何かを言おうとした入江先生の言葉を遮るようにそう言いながら、勢いよくフォークをシフォンケーキに突き刺した。


そんなあたしに気を遣ったのか入江先生はというと

「慌てなくていいからな。」

そう言い、目を閉じてコーヒーカップを口にした。



何か言おうとしていた入江先生を遮ったのはあたしなのに
今更、それが気になって仕方がない
蒼井とここに来たのかという無神経な問いかけにも関わらず
答えてくれようとしてくれたのかな?


入江先生
目を閉じたあなたの瞼の裏に映っているのは
やっぱり
蒼井・・・ですか?



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