ラヴシークレットスクール ~消し去れない恋心の行方
∫11:理解不能な人達


【∫11:理解不能な人達】


『入江センセ?!』

トイレのある方へ向かう入江先生のことが心配になった。

いつもは広くて大きく見える背中。
それが今は余程しんどいのか
いつもよりも少し小さく見える。


『お皿に脂、浮いてる。』


渡したお皿は半分以上食べたみたいだけど
さすがに完食は難しかったみたい

なんで今日に限って
入江先生はこんなことをしたんだろう?

こってりとしたものを
あまり食べたトコ、みたことないのに


「入江先生の目の前で、もう一度高島先生に僕の食べる分を取り分けてもらったら、どうなるんでしょうね?」


八嶋クンは入江先生が食べ残したピザを手に取り
口に(くわ)えた。


『別にどうにもならないんじゃない?』

ピザを食べ続けている彼が
あたしのほうに向けた視線。
それがなぜかあまりにも鋭くて
息が止まりそうだった。


「じゃあ、試してみます?高島センセ。」


入江先生の食べ残したお皿をじっと見つめながらニヤッと笑った八嶋クン。
いつも爽やかな彼なのに、まるで別人に見えてしまうぐらい意地悪なその笑み。



今日の入江先生もよくわからないけれど
今日の八嶋クンもよくわからない


入江先生を試す・・とか


ただでさえ、気分が優れなさそうな入江先生を試すとか
正直やめて欲しい


『試すとか、失礼なんじゃない?』

「冗談です。できないですよ、上司相手に。」

『そうだよね?』

「そんな心配そうな顔しないで下さいって。僕も入江先生の様子が心配なので、トイレを見てきますね。」

『お願い。』


八嶋クンはいつもの爽やかな笑顔でそう言い残して
入江先生がいるであろうトイレのほうへ向かった。




教師1年生なのに
業務はきっちりとこなし
先輩教師達からからの評判も上々
爽やかで機転が利いて
女子生徒だけでなく
男子生徒からの受けもいい八嶋クン

その彼が
何を考えているのか一瞬わからなくなった

まだウチの高校に赴任してきたばかりだから
彼の人柄を把握し切れていないのは当たり前なんだろうけど

でも、彼のいつもの爽やかな笑顔が戻ったせいで
それは自分の気のせいなんだ

この時、あたしはそう思ってた。


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