「好きだよ、まゆり」
1、
桜井まゆり。

世界一可愛い僕の恋人。


「おはよう、アキラくん」


朝。まゆりはそう言って僕に笑いかける。

僕がおはようと返すと、クスッとからかうような笑い声。


「まだ眠そうだね。また夜更かししていたんでしょ」


悪戯っぽいまなざし。

まゆりのこの表情がとても好きだ。

どちらかといえば童顔なまゆりだけれど、この顔をしているときは俄然大人っぽく見える。

少しだけ青みがかった目が、美しくゆらめく。


ああ。可愛いな。

まゆりは今日もすごく可愛い。


黒くて長い髪も。

長いまつげに縁取られた丸い目も。

ちょっとだけ幼く聞こえる声も。

涼しげな半袖のセーラー服も。


いつも通り、なにも変わらず、とても可愛い。


まゆりは僕の最高の恋人だ───。




「………はああ、まゆり最高。ずっと見ていたいけど、学校行かなきゃ。マジで現実なんてクソだよクソ」


「私」はそうつぶやき、アプリを終了した。

まゆりの姿がスマホから消える。




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