「好きだよ、まゆり」
☆☆☆

それから数週間。

バイトにはなんとか慣れてきた。

基本的に同じような学生のバイトと二人でレジなどの仕事をこなしていく。

(店長はほとんどバックヤードにこもっている)

私の入っている時間は、あまりに忙しいということもなく、さすがに楽勝といえば嘘になるが、それなりに無難にやっている。





ちなみにシフトは、真由理くんと一緒になることが多かった。

彼は近くの男子校に通っていて、学年は私より一つ下らしい。

そのためか、いつの間にか真由理「さん」でなく真由理「くん」と呼ぶようになっていた。





第一印象通り、愛想がなく何を考えているのかよくわからない真由理くん。

でも冷たかったり暗かったりはしないようで、仕事の忙しくないときなどは割と普通におしゃべりしている。



この日もお客さんの波がきれたタイミングで、二人でレジに入りながら話していた。



「…前から思ってたけど、辰己さんって背高いっスよね」

「まあ…175あるんで。でも真由理くんも相当高いですよね。身長いくつ?」

「182っス。なんかうちの家族みんなデカくて、兄貴なんか195あります」

「えー、すごい。それだけあれば…バレー…っ…」



言いかけた単語がのどにひっかかる。

真由理くんが首をかしげた。



「どうかしました?」

「あ、ううん。別に……」


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