死者の闇〜最期のメッセージ〜
藍は涙を何度も拭い、足を止めることなく歩く。本来なら、こんなに感情的になってはいけない。それでも藍は気持ちを抑えられなかった。それはーーー。

「藍ちゃん、どうしたの?」

優しく声をかけられ、藍はびくりと肩を震わせる。ゆっくり振り向くと、そこに福山美里はいた。厚化粧をし、派手な格好をしている。

「泣いてるけど、何かあったの?」

心配する福山美里に、藍は震える声で訊ねた。

「美里さんが、お兄ちゃんや多くの人を殺したんですか?」

「えっ?」

福山美里は首を傾げるが、空気が一瞬で変化したことに藍はすぐに気付いた。重く、冷たい空気が二人の間を流れる。

「どうして私が青磁くんを殺したと思うの?」

福山美里は冷たく言う。その目も顔も笑ってはいない。

「美里さんは、東京の製薬会社に勤めていました。お兄ちゃんも東京の医大に通っていました。お兄ちゃんの住んでいた部屋と、美里さんの職場はとても近いです」
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