死者の闇〜最期のメッセージ〜
人はいつか死ぬ運命だ。誰にでも死は訪れる。しかし、その死には理不尽なものも存在するのだ。

突然青磁は命を奪われた。その理不尽な死に藍は悲しみを抑えきれない。何度泣いても心の傷は癒えない。それほどまでに傷つき、青磁を想っていた。

「藍、母さんと畑に行ってくる。何かあったら来なさい」

藍の父、渉(わたる)が布団にくるまる藍に言う。しかし、藍は無言を貫いた。

大河や如月大輔(きさらぎだいすけ)刑事や、朝子に聖に正人、多くの人から藍を心配するラインが届く。藍はそれに適当に返信をし、また天井を見つめた。

何度こんな日が続いただろう。これから先、ずっとこうなのだろうか。そう考えると藍の中に恐怖が生まれる。しかし、同時に諦めもあった。青磁を失い、約束は儚く消えていった。何のためにこれからメスを手にするのか、藍にはわからない。

布団の中にいるうちに眠ってしまったらしい。藍が目を覚ますと、もう午後一時を過ぎていた。以前の藍ならば時間を無駄にしてしまったと焦るだろう。
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