アンティーク


場所は変わり、ここは大学構内だ。
大学生の俺は、あのアンティークショップにいつもいるわけではない。
普段は学生として、この大学で美術を学んでいる。

今日は、6月ということで過ごしやすい天気だ。
俺は、出された課題をやる場所を探していた。
そうしてちょうど見つけたのがこの今いる大きな木の下で、葉っぱが影を作り、木漏れ日が差していた。

その木にもたれかかる。
準備をしながら、歩く人々を見た。

すると、あの彼女の姿が目に入ってきた。

「あ」

しかし彼女は、俺に気づかないまま建物へと入っていく。
声をかけようか、迷っているうちに彼女の姿は見えなくなった。

「同じ、大学だったんだ」

アンティーク好きな彼女は、音楽学科の生徒。
その情報が、新しく俺の脳内に書き足された。




今日は外も気持ちが良いので、俺は少しここにいることにした。

「レオ」

すると、名前を呼ばれる。
呼ばれて振り向くと、そこには友人の将生が立っていた。
茶髪にゆるいパーマ、今時の髪型をしたいわゆるイケメン。
なのに、驚くほど女の人に興味がなく、実は俺は少しだけ疑いを持っている。

「レオ、ここにしたんだ。じゃあ俺反対側で書こうかな」

「いいんじゃない」

将生は、俺がハーフということを一切気にせずに当たり障りなく接してくれた友人の一人。
俺は正直女の人が苦手だ。
それも、この外見のせいではあるが。
ハーフというだけで、告白してくる子も少なくはなかった。
みんな、外見しか見てくれなかった。
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