Little Gang

涙のClown


家政婦としていい所を見ようとしたはずの料理で、サクラさんの味を再現するどころか卵焼きまで失敗してしまった、翌日。

ぼんやりと朝食の準備をしながら、私は幾度となくため息を吐いていた。

サクラさんから伝授した、三つ子が大好きなスコーンとパウンドケーキ。

習得するのに3年はかかった。

そもそも私は料理をしたことがないから、家事全般をスマートにこなす家政婦の仕事は向かない人間だ。

キッチンは一応あるけど、新品みたいに綺麗。

包丁を持つと指切っちゃうし、コンロ使うと服まで燃えちゃうから危険でしょ?

まあ、それは料理以前の問題だけどね。

家事全般は西郷家でダントツの腕前を持つユウタママがいるからといって、甘んじて任せるわけにもいかない。

私は・・・兄さんに甘えてたんだよね。

ケンカしか取り柄のない自分に何ができるのかわからなくて。

いつ最後の晩餐になるかわからなくて。

情けなくて、不安で、受け身になりすぎていたのかもしれない。
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