君がいてくれるから私も光でいられる、そんな気がした。
私はすぐに病院の先生に診察をしてもらった。

「心因性記憶障害ですね。」

心因性記憶障害、大きな精神的ストレスや心的外傷が原因となって発症する。記憶喪失の一種。

「またですか…。」

お母さんは、深くため息を吐いた。

また、また?という言葉が頭に引っかかる。

「どんなことを覚えている?」

先生が私に聞いてきた。

私に覚えていることなんてないのにと思いながら、じっくり考えてみた。

考えても考えても思い出せなかった、家族のことも。

「今日の診察は、終わりです。明日の午後3時にまた診察しますので、お願いします。」

お母さんは、先生に泣きながらよろしくお願いしますと言って私も診察室を後にした。
< 3 / 6 >

この作品をシェア

pagetop