続・政略結婚は純愛のように
そしてそのまま由梨を引っ張って部屋を目指す。
 いつもの彼らしくない、粗野な仕草でドアを開けて由梨を引っ張り込むと、そのままドアに由梨を押さえつけて再び激しいキスを再開した。

「んっんん…!」

 ホテルの高層階から見る極上の夜景を背景に、由梨をむさぼる隆之のシルエット。
 いつもはどこか余裕あり気に由梨を求める彼が、今日はもう一秒だって待てないと全身で由梨を求める。
 由梨だってもう限界だった。
 彼が欲しい。
 もっともっと近くで彼を感じて一つになってしまうくらい、触れてほしい。
 次に隆之との時間を持てたら、話したいことが沢山あると思っていたはずなのに、もう何も頭に浮かばなかった。
 ただ、このまま何もわからないままに、目の前にいる、自分に飢えた狼に食べ尽くされたい。
 そんな自分の中にある渇望を恥ずかし気もなく解放し、由梨は隆之に溺れていった。
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