続・政略結婚は純愛のように
「黒瀬に何か良からぬことを言われたんだな、由梨？ん？怒らないから言ってごらん？」

＂怒らないから＂などという全く信用できない隆之の言葉に＂そうだ＂と言えるはずもなくただ由梨は首を振る。
　そんな由梨に右の眉をあげた隆之の手がパジャマのボタンを外し始めた。

「た、た、隆之さんっ…。」

そしてそのまま下着をつけていない由梨の素肌を楽しむように辿り始めた。

「夫婦の会話の中で他の男の名前を出すとは…お仕置きが必要だな。由梨？」

そのお仕置きが何を意味するのかは明白で由梨の肌があっという間にピンク色に染まる。
　大きなソファの上で隆之は由梨を囲い込むように捕らえてしまった。
　そして由梨をじっと見つめた。
　その瞳を吸い寄せられるように見つめていると、由梨はなんだか自分が溶けかけのアイスキャンディーになったような気分だった。背筋からとろけてしまってぐにゃりと崩れてしまいそうだ。

「でも…隆之さん…、つ、疲れているでしょう？」

　拒否ではない由梨の言葉が合図になった。
　本格的に攻めに転じた隆之に由梨が勝てるはずもなく、慣れた手つきで由梨のパジャマを剥ぎ取ってゆく。
　…結局、社長の陰謀説について由梨に抗議をするチャンスが与えられることはなかった。
　その夜は由梨はそんなことを忘れてしまうくらいに隆之に翻弄され続けたから…。
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