続・政略結婚は純愛のように
「…おはよう。」

由梨が起きていることに気がついた隆之が新聞を置いて微笑んだ。

「おはようございます。」

由梨は少しかすれた声で答えた。
そのことに隆之は少し心配そうに眉を寄せた。
 そしてバツが悪そうに由梨を覗き込んだ。

「…大丈夫か。昨日は…、すまない。少し夢中になりすぎた。まだ、寝てていいぞ、今日は休みなんだから。」

「…大丈夫です。」

由梨は頬を染めて首を振る。
 本当は少し体がだるい、それに喉がカラカラだ。
 隆之の体力についてゆけていない自分が歯痒かった。
 初めてこの家を訪れたとき、食事をする彼を見て狼のような逞しさを感じたけれど、愛し方もそっくりそのまま狼だと由梨は思う。
 いつもその魅力でもって由梨を圧倒し、食べ尽くすかのように奪ってゆく。
 由梨は自分が自分でなくなるかのように取り乱し、乱れ、彼を求めてしまう。
 そんな昨夜の秘事をこんなに明るい陽の光のもとで口に出されたことが恥ずかしくてシーツを顔を覆った。
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