続・政略結婚は純愛のように
「親父、加賀さんは奥さんとプライベートの時間を楽しんでらっしゃるんだぜ、無粋なことはよせよ。」


伝統ある製造業が後継がいなくて廃業するということが珍しくない昨今だけれど、ここは大丈夫そうだと由梨は思った。
 そうやってうまく父親を諦めさせて、隆之と由梨に向き直った。

「でも奥様にはまたお会いしたいですね。うち以外の酒蔵の話なんかも聞いてみたい。」

 親しげに微笑みかけられて由梨は少し面食らう。
 大学までを女子校で通した由梨はこのような男性からの社交辞令にうまく答えるこができない。

「そ、そんなに沢山の所へ行っているわけではないのです。家が厳しかったですから…。」

頬を染めて言いよどむ由梨の肩を隆之が抱き寄せた。

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