続・政略結婚は純愛のように

 頬を熱い涙が伝った。
 由梨から出たあまりに強い拒否の言葉に、隆之は動けないでいる。
 由梨を抱くために差し出した手をそのままにして目を見開いている。
 頭に血が昇って胸がどきどきとしてどうにかなってしまいそうだ。
 自分の中にある感情がなんなのかすらわからない。
 怒り、悲しみ、嫉妬、羞恥、おそらくそれら全部が大波のように押し寄せて由梨を飲み込んだ。

「隆之さんには、言わないんだから!!」

大粒の涙を流れるままにして由梨は彼を詰る。
 彼が悪くないことはわかっている。
 でも、彼が彼だからこそ由梨が苦しんでいるのもまた事実なのだ。
 どうしてそんなに格好良くて、皆に好かれて、尊敬されているの。
 どうして、私の、ただの旦那様でいてくれないの?
 言いがかりとしか思えない怒りを由梨は隆之にぶつける。

「隆之さんにはわからないんだわ。私、わ、私の気持ちなんて…!」

 もう一度ひどい言葉を口にして、部屋を出ようとくるりと彼に背を向けた由梨を隆之は今度こそ強い力で引き留めた。

「やっ…!」

由梨は再び逃れようと抵抗を試みる。
 けれど逃がさないと決めた隆之の力には到底敵わなかった。
 隆之は暴れる由梨を易々と抱きあげるとやや乱暴にベッドに下ろす。
 そして由梨が体制を整えるより早く両手を由梨の両脇について、囲い込んでしまった。
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