雨の中消える君
「あとは今日非番で居ないのが3人、


夜中に運ばれた急患のオペに1人、そっちはさっき終わったみたいだからもう来ると思う。



ここ広いから、ゆっくり慣れていってね。



デスクはここ。」




これから一緒に働く救命の方たちを紹介してもらい、医局を軽く案内してもらった。



自分の親くらいの年齢の矢野部長はものすごく優しい方のように見えた。


少しすると、聞き覚えのある声が聞こえた。
「お疲れ様です、終わって脳外に引き継いできました。」



「お疲れ、鹿島、今日からここで働くことになった佐々木くん。」




「初めまして、鹿島です、よろしく。」


驚いて目を見開いている俺に

初めまして、と言った彼女は、左手を出してきて、



「あ、佐々木です。よろしくお願いします。」


僕はその手を取った。

「じゃあ鹿島、あと頼んだ。」




「は?」





「佐々木くんの指導、よろしくね。」




部長が部長室に去っていった後の彼女の顔は、引きつっていた。
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