身長差30cm、年の差12才、この恋あり
11時を過ぎた頃、2台のレジに10人以上のお客様が並んだ。



私はどうしていいのか分からず、ただウロウロしてしまっていると。



「店長、落ち着いて下さい。弁当の補充をお願いします。」


そうだね、ウロウロしてる場合じゃなかった。


おにぎりも補充しなきゃ。



あ、飲み物は大丈夫かな。



良かった。



田中君が聖夜に指導され、飲み物を補充していた。



レジも二人制でなるべく早くはかしているし。


スイングドアが開いて、コンビニの制服を着た千春さんがお店に入って来た。



あれ、聖夜がバイトを断っていたけど、どうしたのだろうか。



目の前に千春さんが現れた。



「店長、聖夜を諦めるつもりはありませんから。バイトは真面目にやるのでご心配は無用です。」



私を押し退けて、お弁当の補充をしだした。



中々やるじゃない。



私だって、負けないから。



レジで何か揉めていた。



百合ちゃんが酔っぱらったお客に絡まれている。


おじいちゃん、真っ昼間からお酒のんでなにやってるの。



「ねえちゃん、可愛いな一杯付き合いなよ。」


レジにはお弁当を持ったお客様が、沢山並んでいる。



私は急いでレジに入って、お客様に声をかけた。



「彼女は未成年ですので、私がお相手をしますね。」



酔っぱらったおじいちゃんを、外に連れ出した。



「ねえちゃんは年はいくつだ。」



「女性に年令を聞くのは失礼ではありませんか。」



おじいちゃんが豪快に笑いだした。



「ねえちゃんも飲むか。」



仕事中だからと、丁寧にお断りした。



おじいちゃんは孫の体育大会に来たのだが、来ないでほしいと言われ、やけになってビールを飲んだと言う。


だから、一杯だけ付き合おうとしたら、聖夜にビール缶を取り上げられた。



「じいちゃん、昼まっから酒ばかり飲んでるから、拓真に来るなって言われただろうが。酒を少し控えろよ。」



聖夜はこのおじいちゃんとも知り合いなのか。



「店長も勤務中にビールを飲もうだなんて、何考えてるんですか。」



どうもすみません。



「俺がもう少し若かったなら、ねえちゃんと付き合いたいな。」



「じいちゃん、美莉は俺の女だから、手を出さないでくれるかな。」



なんなのこの会話は。



じいちゃんと聖夜が私を取り合ってるなんて。


面白過ぎるんですけど。



「美莉さんはおもてになりますね。」



じいさんにモテてもしかたないでしょうが。



てか、なんで聖夜がここにいるんですか。



酔いを冷ましてから、体育大会に行くように聖夜に言われると素直に帰って言った。



聖夜、あなたは何者。


聖夜には到底かなわない。






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