花はいつなんどきも美しく
つまり、私はまた同じようなことをした、と。
……バカかな?


「てかお前、もう男が出来たのか」


真司はベッドから降りながら、聞いてきた。


少し寒くなって、毛布に包まる。


「……なんで?」
「寝言言ってた。ユーノスケって。誰?」
「し、知らない!着替えるから出てけ!」


追い出そうとしたのに、真司はじっと私を見て、近付いてきた。
身動き取れずに、そのまま押し倒された。


「男に捨てられて傷付いてたから、少し時間置こうと思ってたけど、間違いだったな」
「何の、話……」


恐る恐る聞いてみるけど、真司は答えてくれない。


そっと頭を撫でられ、キスされるような気がして、目を瞑る。
だけど、真司が口付けしたのは左側の首筋だった。


「……んっ」


ゆっくりと目を開けると、真司はイタズラを仕掛けた子供のような、嫌な笑みを浮かべている。
頭が追いつかないでいたら、真司は肩紐をずらした。


ひんやりとした手が肩から徐々に下がっていく。


逃げたいのに、この体勢で真司を押しのけられる自信がない。


「やめ、ろ……」
「断る」


……なんでだよ。
私が目の前で脱いでも、服を握ってても、やらなかったのは私に興味がないからじゃないのか?
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