花はいつなんどきも美しく
「とりあえずビール三つ」
「あ……私は、お茶で……」


文句を言いながら入ってきた子がまとめて注文すると、大人しそうな子が小さく手を挙げた。


「じゃあビール二つ」


指を二本立てて、注文の訂正をする。


もうすでに酔っていて、さらにお酒を飲むのは危険だ。


そう思っても、こちら側としては客の注文に応えなければならない。
飲みすぎるのはやめたほうがいいなんて言えば、余計なお世話だと怒鳴られて終わりだろう。


一杯は提供するが、その次は様子を見よう。


ビールとお茶をテーブルに並べると、ジョッキを掴んだ彼女は、一気に半分近く飲んだ。


その飲み方は危険だと、聡美ちゃんだったらすぐに止めたり注意したりできるのに……


「ていうかさあ?今日、なんであんな微妙な奴らばっかりだったわけ?」


引き続き大きな声で愚痴を言う。


周りのお客さんは彼女たちを軽蔑するような目で見ている。
と言っても、愚痴を言っているのは真ん中の子だけで、両端に座る子たちは気まずそうに笑顔を取り繕っている。


まったく、楽しい空間にしたいがモットーなのに、これじゃあ誰も楽しめない。


「ごめんなさい、もう少し声のボリュームを下げてもらえないかしら?」


軽く注意をすると、真ん中に座る子が睨んできた。


「なんでそんなこと」
「ちょっと落ち着きなよ、結月」
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