花はいつなんどきも美しく
私は、恋愛よりも仕事を優先してしまうような人間。


また同じことを繰り返すのではないかと思うと、怖くて恋人同士になろうとは、どうしても思えない。


「聡美ちゃん、聞いてる?」
「え、と……ごめん」


悠之介の話も聞かず、思考の迷路を彷徨っていた。


聞いていなかったことを謝ると、悠之介は表情を曇らせた。


「悠之介……?」


どうしたのかと思って名前を呼ぶと、悠之介は泣きそうな笑顔を見せた。


「嫌いじゃないって言ってくれたから、てっきり同じ気持ちでいてくれると思ったんだけどな」


悠之介はそう言うと、背を向けた。


待って、どういうこと?
今、なにか大切なことを言ったってこと?


理解が追いついていないうちに、悠之介は離れていってしまう。


「待って……!」


私は慌てて追いかけ、悠之介の服を掴んで引き止める。


「あの……私、今の聞いて、なくて……悠之介、何か、言ったの……?」


緊張しているのか、言葉がうまく紡げない。


悠之介は振り向いて、私の頭に手を置いた。
その温もりは心地よくて、私の中にある不安を消してくれたような気がした。


「付き合ってみようかって、言ったんだよ」


私は目を大きく開き、悠之介を見つめる。
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