花はいつなんどきも美しく
「そのときはそのときだよ。そんなことで俺が聡美ちゃんを嫌ったりしないって、わかってもらえばいいだけだし」


その方法に問題があるけどな。


「……わかった」


これだけ言われて、まだ不安、なんて臆病すぎる。


少しは前に進もう。


「あ、部屋行く?」
「そうじゃない。今デートの話してたのに、なんでそうなった」
「冗談だよ。はい、唐揚げとビール」


悠之介の笑い声とともに、いつものメニューが出てくる。


「次のデートのときも、おしゃれしてきてね」


唐揚げを頬張っていたら、急に言われた。


そういえば、いつもと違う格好してたんだっけ。


「……こういうの、好み?」


正直、自分が持ってる中で一番女っぽいものを選んだだけで、これが悠之介の好みかは知らなかった。


「俺的には、聡美ちゃんが俺のことを思っておしゃれしてくれるなら、なんでもいいかな」
「……そういう曖昧な答えは嫌い」


悠之介が好きじゃない格好しても、楽しくないから聞いたのに。


「好きだよ」


しかし真っ直ぐ目を見て言われると、逸らしたくなる。


「……そっか、よかった」
「聡美ちゃん」


名前を呼ばれて顔を上げると、キスをされた。


「……そういうことはしないって言ったのに」
「客の前で堂々とキスしてきた人には言われたくないかな」


そう言われると、何も言えない。


そして私たちは夕飯を終えると、解散した。
< 66 / 79 >

この作品をシェア

pagetop