花はいつなんどきも美しく
そんな私を見て、悠之介は笑っている。


「それじゃ、映画行こうか」


流れるようにエスコートされ、私たちは映画館に向かった。


「聡美ちゃん、恋愛映画なんて興味なかったね?」


映画が終わって、一番に言われた。


「……なんで?」
「寝てた」


バレてたか。


「興味ないなら、言ってくれればよかったのに」
「……悠之介と映画見たかったんだもん」
「だったらアクションとかジャンル変えることができたでしょ」


なるほど、それもそうか。
素直に見たいやつ言えばよかった。


「次はちゃんと見たいもの見に行こうね」


自然と次の約束ができてしまった。
これは結構嬉しい。


「お、本当にいた」


聞き覚えのある声がして、あたりを見渡す。


「真司?なんでここに」
「雪に聞いた」


園田雪は真司に好かれるためならなんでもするのか。


というか、どうして私が映画デートをすることを、園田雪が知っていたのか、不思議でしかない。


「本当にママと付き合ってるんだな」


どこか切なそうに言う真司の表情に、何も言えなくなる。


「真ちゃん、聡美ちゃんのこと好きだったのね」


悠之介が言うと、真司は悠之介を睨む。


「その口調、やめて。作り物だってわかってて聞くと、気持ち悪い」


ストレートすぎる言葉に、悠之介は苦笑いで答えた。
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