花はいつなんどきも美しく
はっきり言って、どうでもいい。
今は新しく来た人がどんな人かなんて、気にしている余裕はない。


そう思っていたのに。


「本日よりお世話になります、園田雪です」


今目の前で挨拶をしているのは、私の恋人を奪ったアイツだった。
腹立たしいことに、私の上司になるらしい。


「ちょっと、なんでそんな睨むような目で雪君を見てるのよ」


隣に立っていた同期の殿山愛子が私の頬をつつき、小声で聞いてきた。
なぜ名前呼びなのか、と突っ込む気力もない。


「……睨んでない」


今ここでなにがあったのか説明することもできなくて、不貞腐れたように言ってしまった。


愛子は不思議そうな目で見てくるけど、それ以上詳しく聞かれる前に、自分の席に戻って仕事に取り掛かる。


仕事に集中することで少しは忘れられるかと思ったけど、全くそんなことはなかった。


仕事に集中しきれていない女性社員たちが、あちこちで園田雪について話していたせいで、まず気が散って仕方なかった。
そしてその話題が耳に入れば、当然奴のことを忘れることだってできなかった。


「よくもまあ、あそこまで騒げるもんだ」


昼休みになると、今朝彼女たちと似たような反応をしていたはずの愛子が、感心してる。
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