その青に溺れる

誰が望んだのか、この行為を

あぁ、この際どうでもいいか、そんなこと

幾度となく繰り返すキス

押し寄せる身体

染み付いた煙草の匂いも

酒と微かな香水の匂いも

髭がある人など好みではないのに

ピアスも髪の毛も指も、手のひらも

何考えてるか分からない目も

濡れた唇や顔の輪郭も


「柚月……」


声も温もりも全部……


強引で傲慢で自分勝手なくせに


「好きだ……柚月……」

どうしてその言葉を残したのか、耳に付いたまま離れてくれない

首元に帯びた息と熱が留まり、それでも尚唇が何かを求めようとしていた。
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