かすみ草の花束を。
「小枝ちゃん、どうだったかまた話聞かせてね」
「じゃ」
通学路が中学と反対方向なので、二人とは途中まででお別れ。
「うん! 美砂も雄大も気をつけて行ってらっしゃーい」
「行ってらっしゃい」
そうして美羽とふたり、いつも通り手を振って見送った。
そこからは美羽と高校までの道を歩く。
"今日も朝、黒崎先輩に会えるかなー?"なんて勝手にドキドキして、学校に着くとまず先輩の姿を探すけど、見当たらなくて勝手に落ち込んだ。
なんか恋って、忙しいんだなって、初めて恋をしてわかったこと。
恋してる人って、大変だったんだなって。
今、自分がその立場になって初めて感じる。
だけど、全然嫌じゃなくて…むしろ幸せで……
気持ちで表すと"フワフワ"って感じかな?
うん、私フワフワしてる…
そんなフワフワした状態で、午前中の授業がいつのまにか終わってしまっていた。
「小枝、私委員のことで先生に呼び出されて、ちょっと時間かかりそうなんだけど先に行ってる?」
「あ、うん。 先輩たちにもそう伝えとくよ」
私は美羽と別れたあと、ドキドキやワクワク、いろんな感情を抱きながら、昨日先輩とお昼を食べた旧校舎に向かう。