嘘つきシンデレラ




『坊ちゃんは苦労しなくていいよな』



何て言うヤツもいるが



笑わせる。



血筋だけで、後を継げるほど



葛西は甘くない。



会社を守るためには、兄弟でさえ



競わせる。





ここに立つために、



ここにいるために。



ここに居続けるために。



努力しかない日々だった。



小さいころから英才教育で、ノウハウ叩き込まれて



甘えなんて許されなかった。



親も同じように育てられてきているから。



ある意味まともじゃないんだ。



普通の一家団欒なんて、



経験した記憶も数えるほどだ。



だからその分、



道徳部分がすっぽり



抜け落ちてしまっているんだろう。



経営者に 必要ないし、




妨げになるものだからだ。



自分のしていることは間違っていない。



確信はあるものの、



どこかで



いつか報いを受けるだろうと 




予感している自分がいる。




みんながうらやむ葛西の息子。



なんてことはない。



葛西一族の奴隷だ。



立ち止まることは許されない。
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