あまい・甘い・あま~い彼が見つからなくて
「晒名先生、急患入ります!」

わずかな仮眠を看護師に起こされて、大きく伸びをして仮眠室を飛び出す。

大翔と同じ大学病院の救命に勤務して四年、慌ただしい日常を過ごす私は二十八歳になった。

初めての合コンで、初めて会った男とホテルに行った…。

仮眠しながら忘れていたことを夢にみて "はると"  をひさしぶりに思い出した。

初めて行った合コンはとても居心地が悪くて、初対面の男たちに馴れ馴れしく話されることが私はとても苦痛だった。

そんな私に気がついた彼は、私の隣に座る男の肩を叩き

「悪い、その席俺に譲って。
一目惚れしたから悪いけど俺にその子と話させてよ」

と私にさりげなく触っていた男をどかして

「大丈夫?」

と私の顔をのぞきこんだ。

< 13 / 102 >

この作品をシェア

pagetop