あまい・甘い・あま~い彼が見つからなくて
大学を卒業して、父親がそうしたように、私もいずれは継ぐ自分の家の病院ではなく系列のK大学病院に就職した。

幼馴染みの二つ上の大翔(はると)を追いかけるように、私は同じ医大へ進み、職場も所属する救命救急も大翔がいるからという理由だけで選んだのだ。

大翔と私の父親は医大からの付き合いで、母親同士は中学からの親友で小さな頃から一緒に育った私たちは幼馴染みだ。

"幼馴染み"というワードは私や颯馬には特別で、幼馴染みの杏ちゃんに小さな頃から想いを寄せていた颯馬はもうすぐ杏ちゃんと結婚式を挙げる。

私も同じように大翔に恋い焦がれてずっと彼の後を追いかけてきた。

両親みたいに大翔と漫画や小説みたいな大恋愛をするものだとずっと疑いもしなかった。

だけど、イケメンでクールな大翔は昔からよくもてて、絶えることなく彼女がいた。

彼の隣に腕を絡めて並ぶ女性は残念ながら私ではないのだ。

"幼馴染み"は特別な存在なんだってずっとずっと思ってきたのに、私たちの関係はいまだにただの幼馴染みで、今は職場の先輩という関係が加わっただけだった。
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