あまい・甘い・あま~い彼が見つからなくて
***
手元の携帯は結局翌日も鳴ることはなくて

「はぁ、やっぱ無理なのかなぁ。
高嶺の華子ちゃんかぁ…」

久々の再会に昨日は気持ちが高ぶって仕方がなかったが、一向に鳴らない携帯にだんだん気分は落ち込んでいく。

気晴らしに最近同僚から『すっげー可愛いこがいるんだよ』と教えられて入会したジムに行くことにした。

「いーかげん新しい出会いに期待するかな」

空元気でむかったジムで、残念ながら俺は今まで噂の可愛い女の子を見かけたことがない。
だから今日も期待はしていなかった。

「こんにちは」

受付のお姉さんが俺の挨拶に満面の笑みを浮かべて

「こんにちは尾作さん。
今日、久しぶりに噂の彼女いらしてますよ」

と小声で教えてくれた。

少しだけあがったテンションに、意外と単純な自分に苦笑いしながらフロアーに足を踏み入れたとたん俺の心臓がまた音を立てた。

恋に落ちる音。

何度俺はこの音を聞いただろう。

君に出会うたびに俺は何度も恋に落ちる。

俺たちはやっぱり運命の神様に認められた相手なんだ。

どんなに高嶺の華でも手にいれたい。

愛しいキミの笑顔を俺は独り占めしたい。
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