愛は惜しみなく与う③
志木と杏と恋心
------

目が覚めたとき


不思議な現象が


え?!志木の声?泉の声??どういうこと?


ほんまにテンパった。

よくわからずに、ぼーっとする頭は全く働く気配はなく、まだ神経が目を覚ましていないのか、手足は動かない

頭だけ起きてるって感じ



そして次の言葉でハッキリと覚醒する



「俺は、杏が笑顔でこれからも過ごせるようにしてあげたい」



泉の声がした

出会った時から、笑顔で入れる場所をつくってやるって、泉は言ってくれてた。


それは変わらないんやね


本当は頭も身体もすべて諦めていた。
あの時ほんまに、もうどうにでもなれって思ってた。

それでもサトルに近づくなら


自分のことなんてどうでもよかった



だから、あの電話で

もう、追ってこないでくれと、別れる決意もした


声を聞いて揺らいだけど


あたしの本来の目的は、サトルやから


復讐や


そう思ってたのに




『杏、大好きだよ』


そう言われた


泉がそれを、とても笑顔で言っているのが、電話越しで分かった。それが伝わってきた
< 244 / 410 >

この作品をシェア

pagetop