黒と白の境界線〜心理学者の華麗な事件簿〜
「まだらの紐という話で、犯人は換気口から沼マムシを送り、人を殺している。あの廃墟にあった換気口も沼マムシが通り抜けられるサイズの穴だった。つまり、犯人はこの話を読んだことがある人物ということになる!!」

「……なら、森山礼司さんの事件は?」

興奮する末良刑事に対し、冷静に京は訊ねる。京もシャーロック・ホームズを読んだことがある。おそらくあの話だろうと予想した。

「犯人は、緋色の研究のトリックを使ったんだ。緋色の研究では、被害者を犯人が毒殺している!!さらに「RACHE」というメッセージもある!!」

末良刑事はそう言ったが、京は疑問に思ったことがあった。それを訊ねてみる。

「末良刑事。仮に、シャーロック・ホームズを犯人が読んで完全犯罪をしようとしていたとしても、今回の二つの犯行はどちらも原作と違うところがあるわ。それについてはどうお考えで?」

「どういうことだ?」

逆に質問が返ってきたため、京は説明する。

「まだらの紐で被害者が殺されたのは、自宅の寝室。しかも被害者は、殺される数日前から口笛を聞いている。その理由は、犯人は蛇を口笛で飼い慣らしていたから。被害者を噛むまで蛇は何度も放たれていた。さらに、その被害者は豚の血液は塗られていなかかったわ」
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