続・カメレオン王子とひとりぼっちの小鳥ちゃん

 ☆琴梨side☆

 今日こそは、
 礼音くんに謝らなくちゃ。


 『すみれ色のワンピースで
 結婚式に行きたいなんて言って、
 ごめんなさい』って。
 


 そして礼音くんに伝えよう。

 『大好き』だって。



 私は絶対に、
 礼音くんに嫌われたくないから。



 ずっと隣にいて欲しいから。


 

 夜7時頃、
 礼音くんが帰ってきた。



 「礼音くん……昨日は……ごめんなさい。」



 「……」



 「やっぱり、礼音くんの言う通りだったね。
  私にはすみれ色のワンピースなんて
  似合わなかったね」



  礼音くんは、私の顔も見ないまま、
  洗面所に手を洗いに行ってしまった。



  私は礼音くんの後について、
  一緒に洗面所に行った。



 「夕飯……できてるよ……」



 「いらない」



 「礼音くんの好きな……
  ロールキャベツに……したんだけど……」


 「何度も言わせんなよ。
  いらないって言ってんだろ!!」



 礼音くんは私を鋭い目でにらみつけると、
 自分の部屋に入っていった。



 礼音くんはリビングに戻ってきて、
 携帯の充電器や洗面用具などを、
 バックに詰め込んでいく。



 「どこか……行くの?」



 「ああ。当分帰ってこないから」



 「え?え?

  私、言われた通り
  ベージュのワンピースで行ったよ。

  それとも、
  他に何か嫌なことしちゃった?」



 「別に?」



 「礼音くん、ごめんなさい。
  本当にごめんなさい。

  だから……行かないで……」




  このまま礼音くんが行ってしまったら、
  もう私の元になんて、
  帰ってきてくれない気がした。


 
  涙で視界がぐちゃぐちゃになりながら、
  必死に礼音くんの腕をつかんだ。



 「琴梨、離して」



  そう言った礼音くんの目が、
  私を鋭く睨みつけていたから、
  怖くなって、手を放した。
  


  そして礼音くんは、
  バックを抱え、出て行ってしまった。

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