金魚占い ○°・。君だけ専用・。○.
私の体重如きで、ミシミシ音を立てるこの家は築何年なのだろう……。

部屋から差す光で足元が見える。

暗い廊下の先。

「瑠璃…?瑠璃っ…いるの?」

私は声を掛けながら、遠慮がちにその扉のノブに手を掛けた。

ぱっ…っと明るい部屋。

すぐに、目に飛び込んできたのは床に落ちた写真立て。

一部、粉々にひび割れていて枠が外れかかっている。

小学校の入学式の写真だろうか…?

校門の前に立つ少年は瑠璃だとわかる。

小さくてあどけない瑠璃。

母親らしい着物を着た人物の胸から上は、ヒビが細かく入っていてはっきりと見えなくなってしまっていた。

晴れの日なのに…どこか寂しげな小さな瑠璃の瞳に、私はドキッとする。

私の知っている瑠璃の表情とは少し違う。

私はふっと視線を上げる…

大きな窓の前には、勉強机…本棚…渚高の制服、
転がるバスケットボール…

その隣にベッド……。


バタンっ。


急に目の前が真っ暗になる。

この部屋の扉を瑠璃が私の背後から閉じたのだ。
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