卒業まで100日、…君を好きになった。

「弟の平くんのことだって、好きだったのはだいぶ前だし。ひとめぼれだったわけでもないしね」

『ああ、そうだね。勉強教えてもらったのがきっかけで好きになったんだっけ?』



よく特進クラスをのぞいているので、すでにわたしの過去の恋は、奈々たちに知られていた。


同じクラスだったのに、わたしが恋に落ちたのは図書室でだった。


平聡くんとは、教室ではほとんど話したことがなかった。


ただ、一時。

1年の終わりごろ、図書室でほんの一時、言葉を交わした。


彼のほうはあんな短い時間のこと、きっと覚えてもいないだろう。

わたしの存在も、彼の元に集まるたくさんの人の中ですぐに埋もれていったはずだ。

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