卒業まで100日、…君を好きになった。

人がいないんじゃない。


わたしはいつも、皆の邪魔をしないよう登校するのが最後の方だから、クラスメイトはほぼ全員揃っている。


授業中じゃなくて、始業前。

なのにまるでテスト中かのように静かだ。


暖房がついていてあったかいはずなのに、緊張感がただよう教室内は肌寒く感じた。


みんな雑談することもなく、席について参考書を開いていたり、ノートをまとめたりしている。

参考書のページをめくる音や、ペンを走らせる音が教室には満ちていた。


テストが終わったばかりなのに、みんなの気が緩むことはないみたいだ。


前は教室のドアを開けた瞬間、たくさんの笑顔と声に迎えられていた。

そういうあったかい、家みたいな場所だったのになあ。


まるで遠い過去の出来事のように感じる。
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