SPICE!
裕作が その家を出て一人暮らしを始めた。

掃除にはあたしが参加。
おねえさんぶったりして。
陽の当たらない薄暗い古いアパートで
二人きり。

当然間違いが起こる…


わけもなく。


三人でホームセンターに行った時も
あたしは裕作とふざけて手を繋いだ。

裕作の家から帰る時も
裕作は外見のチャラさとは全く違い紳士で
必ずタクシーを停めてくれて
ずっと手を振って見送ってくれた。


裕作が 合コンに行く、と聞いた時もあたしは

「若いんだし 経験積んでいい男になればいいのよ」

なんておねえさんぶったりして。

実際その合コンで
女の子と気があってデートをしたと聞いて

私はなぜか号泣した。

「あたしと行く約束してた美術館に 他の女の子と行くなんて!」

まだ付き合ったと決まったわけじゃないんだし、と
あたしを慰めた阿部っちの手を振りほどき泣いた。

その日の夜から翌日の休日一日泣いて過ごした。
そしてその翌日、出勤したあたしは
食欲もなく、でも食べなきゃ午後の仕事に差し障るので、と社員食堂に行く。

後輩が
「元気ないですね」
と言ったのを皮切りにあたしはヤケクソ。

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