一級建築士の萌える囁き～ツインソウルはお前だけ～

反撃の狼煙

退社時間が来て、萌音を連れ出して話をしようとしていたときだった。

同じ設計課のインテリアコーディネーターである、海音の姉、道端桜がしのぶと萌音を誘ってあっという間に飲みに繰り出してしまった。

゛出遅れた゛

海音にとって今日という日は、全てにおいて上手くいかない一日だった。

いや、゛九死に一生を得る゛ことはできたのだが、頭はボーッとするし、足は痛むし散々だった。

全てはあの憎き佐和田のせい。

海音が苦虫を潰したような顔で睨んでいると、内線で、父親である風太郎から連絡が入った。

『話がある。今すぐ来なさい』

風太郎の声は怒気に溢れている。

今度は佐和田が風太郎にまで手を回したのだろうか？と海音は身震いした。

コンコン、と社長室のドアをノックする。

朝ここに呼び出されてから、まだ24時間も経っていないのに、こんなに何度も父親を訪ねることになると思いもしなかったと、海音は苦笑した。
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