一級建築士の萌える囁き~ツインソウルはお前だけ~

ラストショー

「お待ちしておりました。どうぞお入り下さい」

可愛らしい外見とは裏腹に、きりりとしたクールな美人弁護士、夢谷和奏は自らの執務室に海音と萌音を案内した。

「先日のスイートルームでの一件ですが、結論から言いますと、佐和田さんがコーヒーに何かを入れる瞬間が映っていないことと、実際に佐和山さんがコーヒーを飲んでいないことから、この件による傷害罪や暴行罪での立件は難しいですね」

夢谷弁護士は、罪状を述べる裁判官のように淡々と言葉を紡いだ。

「しかし、三角絞めで意識を失わせようとしたことは傷害罪に値します。更に商談を持ちかけて騙そうとしたことは信用毀損罪に問えるかもしれません。いずれにしろ、合意ではなかったことがビデオ画像とICレコーダーの録音で証明されていますのでこちらの不利にはならないでしょう」

夢谷弁護士の言葉を引き継いで

「夢谷弁護士の右腕ともいえる、警視庁、人身安全対策班の水谷警部にも協力していただき、コーヒーカップに残された液体の中に睡眠導入剤の薬物反応とアルコールが検出できました」

と桜坂CEOが言った。

「お手数をおかけして申し訳ありませんでした」

「いえ、当ホテルで起こった出来事です。協力するのが当たり前ですから遠慮なさらないで下さい」

海音のお礼に、スマートに答えるイケメンCEO。

父である長嶺教授のアシスタントとして、多くのビル建設やホテル建設に携わってきた萌音だが、桜坂CEOは別格の完璧イケメンだと、萌音はみとれていた。
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