一級建築士の萌える囁き~ツインソウルはお前だけ~
「どういうつもり?恥ずかしくて死ねる」

「別に。お前と俺の関係を佐和田にわからせただけだ」

悪びれない海音は、満足そうに萌音の手を引いて歩き出した。

「その強引さ、私にやってることはあの彼女と大差ないってわかってる?」

そうだ。

海音にキスされて、抱き締められて、肩や腰を抱かれ・・・。

まるで恋人に接するかのような海音のその態度こそ、萌音の同意のもとで行われたものではないのだ。

「萌音は嫌がっていない。感覚でわかる」

゛どんなストーカー発言だ゛

「じゃあ、たった今から拒否権を発動します」

「却下」

とんだ王様発言だったが、相手が海音だから許せるのだろうか?

確かに萌音は散々好き勝手にされても嫌とは思わなかった。

これまで言い寄ってきた男性の身体的接触に対しては嫌悪感すら覚えたのに、イケメンマジック恐るべし・・・。

黙りこんだ萌音に、勝手に気を良くした海音は

「家具店に戻るか?」

と質問してきた。

「いえ、もう十分見ましたから帰ります」

時計を見ればもう15時だ。

これからまた、満員電車に揺られて来た道を帰らなければならない。

会社と自宅マンションの最寄り駅まではここからなら30分はかかる。

少しでも混まないうちに、萌音は自宅に近づいておきたかった。



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