転生王女のまったりのんびり!?異世界レシピ~婚約式はロマンスの始まりですか!?~
 その証拠を持ってきてくれたというのか。

「ティアンネ妃は、ラファエラ妃にも連絡を取っている。ジャニス妃はこちらの陣営に入ったものと判断したようだな。やはり、セドリックの話に嘘はなかった」
「――やっぱり、リヒャルト様に恩を返したいって思ってたんですね。セスは」

 ちらりとベッドの方に目をやる。そこに横たわるセスは苦しそうな呼吸を繰り返していた。

「……ああ。セスの忠義には報いなければならない」

 リヒャルトのその言葉は、ヴィオラの耳にはとても苦く聞こえる。

(……そうよね、友人だって思っていたんだもの)

 リヒャルトにとって、セスは生まれたときから一緒にいた幼馴染であり、親友でもあった。ただの部下という存在ではなかったのだ。
 そのセスに裏切られたときのショックを、リヒャルトはヴィオラの前で見せたことはなかったけれど、そのくらい容易に想像することができる。

「リヒャルト様、今はセスの回復を待ちましょう」
「……そうだな」

 ヴィオラの言葉は時間稼ぎでしかないかもしれないけれど、今はそう言うことしかできなかった。
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